経腸栄養ポンプの充電器修理

 当院では栄養サポートチーム(NST)が組織され、他職種の壁を超えた栄養サポートを行っています。

わたくし、臨床工学技師としてその一端を担わせていただいています。

 

それは経管栄養を行う機器に関して関わらせてもらっているんです。

経管栄養とは口から食事を摂れない、もしくは摂りづらい患者様の為にチューブを鼻や口、場合によっては胃に直接つないで食物を直接消化管へと導くものです。
メリットは誤嚥性肺炎を防げたり、そもそも消化管から栄養が得られる為点滴などより高カロリーな栄養を補充できるなどです。

デメリットですが、チューブによる違和感やそもそも口で咀嚼しないので本来の食事という満足感が得られない事や高カロリーな栄養剤を直接消化管に投入するので下痢(浸透圧の関係で)などを誘発してしまいます。

 そこで適切な栄養管理を行い、下痢などの副作用を抑える為経腸栄養ポンプという機器を利用し経管栄養を行う事が推奨されております。

 

やっと本題ですが、その経腸栄養ポンプですが当院にも2種類のポンプがあります。

一つはコビディエンという会社のカンガルーポンプというもの、もうひとつはドイツのフレゼニュウスという会社(創業500年だそうです)のアプリックススマートというポンプです。

 

今回修理にいどんだのはカンガルーポンプです。 昔のタイプで在宅用です・・

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症状ですが、充電器のLEDが点灯しないというもの・・・

もう7年目のものだったので捨てるつもりでしたが、どうせ捨てるなら中を拝借してから廃棄しようと思いました。

そう医療機器をはじめ、多くの家電は分解など行えばその時点で保証が受けられなくなります。

ですので皆様は真似しないようお願いします。

 

そんで、充電器開けてみました↓

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LEDが点灯しない理由・・・

 

まったくわかりません。

 

はじめは、ケーブルが断線しているのでは?と考え導通チェックで確認

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つなぎ直してみるものの・・

症状はかわらず・・

 

 

完全にお手上げ状態です。

 

 

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そんで測ってみました。

LEDにかかる電圧

 

なっなんと7.93Vもの高電圧がLEDにかかっていました。

 

LEDは3Vから5Vくらいで点灯するのでこんな電圧じゃ設計されないはず!!

正常に動いているものの電圧を計測してみることに↓

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やはりそうでした、正常動作しているものは2.45V程度しか電圧がかかっていませんでした。

 

本来2.45Vしかかからないところに7V程度の電圧がかかりLEDが故障または保護回路が働いてLED点灯が妨げられている事は明らかになりました。

 

電圧を制御するレギュレータの故障と判断し、修理は諦め何が起こっているのか?を追求することにしました。

まず、充電電圧は正常か?を正常動作品と比べてみました。

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なっなっなんと充電電圧は正常でした。

LEDに加わる電圧だけが異常で充電はできる・・・

 

 

たぶんレギュレーターで作成した2系統の電圧は正常だが、充電状態を知らせるためのLEDを駆動する表示回路に異常が発生し、レギュレータの2系統のうち1系統の高い電圧がダイレクトにLEDの回路に出力されLEDが故障したものだと推測できるようになりまし。

 

しかし、レギュレータや充電回路は無事なので充電はできるという故障内容です。

 

 

分解によって今回は有益な知識がえられたと思います・・たぶん

 

 

残念ながら修理はできませんでしたが、もともと捨てるものと割り切り、その中で自分自信の知識の糧となった事は言うまでもありません。

 

おしまい

 

つづく・・・・

 

 

 

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